短歌集第3作


1. 柔らかな空見ておれば遥かなる雲の奥にぞ夕日沈める

2. そよ風は吹きてぞ青葉優しくも揺れたる中に空の薄雲

3. 西見れば今日の光を放ちつつ夕日沈みてあたり暗しも

4. 広場にて親子の共に遊びては繁き青葉ぞ揺れることなき

5. ややもして夕日は沈みつつあればあたりの暗さ増したるもよし

6. 鮮やかな旗揺らめきて優しくも灯りは照りて連なりており

7. 目の前に建物ありてこのあたり暗さを増せば装いは夜

8. もはや今夕日は沈み空見れば明るく月の照りたるがよし

9. 家を出てしばらくするとあたりでも暗さを増して灯りうつくし

10. 駅前に灯りのありて数々に美しき見て嬉しかる夜

11. 風吹きて青草優しく揺れながら小道の灯り見れば静けし

12. 駅前の店の灯りを脇に見てまっすぐ並ぶ木々は揺れつつ

13. 花々は店の灯りに照らされて今宵の道は殊に華やぐ

14. 夜道をば群れを成しつつ人々が嬉しげに去り風の優しさ

15. 暗がりの道の先にて行く人の消えたる後に風はやや吹き

16. 良き香りいざなわれるまま店見れば宴の声の漏れ聞こえけり

17. 賭け事に沈む輩を店に見て脇を過ぎれば殊に明るし

18. 駅前の車の行き来頻りにて木の間の光優しくてあり

19. どこぞより虫の音しては静けくも誰見るなしに店の灯りは

20. 駅前の遠くに人は歩みつつ大きなる音辺り響きて

21. 建物に光はあれど人なしに通りの車去りて今なく

22. まっすぐに通りに並ぶ木々の葉は風にそよぎて空を透かせり

23. 道端の色とりどりの花ありて虫の音すれど僅かなりけり

24. ただ広き闇なる空の白き雲探せ探せど星のなければ

25. 密やかに建物よりぞ光差し人もなければ我ひとりなる

26. 数々の車は勢い盛んにて負けじと店は光煌めく

27. 大きなる音の先にて乗り物は素早く去りて空は闇なり

28. 青々と木の葉茂れる道行けば明るき光差して月見ゆ

29. ほのかなる風にし身こそ任しけれ家の灯りの優しきは見ゆ

30. 麗しき花の数々咲き乱れ明るき月は後ろありけり

31. 建物を見れば中なる人ありて寂しき光差すに我去る

32. 遠く見て建物我に迫るるにあまたの灯り殊に寂しく

33. 道沿いの店を飾れる灯りこそ数々あれば笑みて去りけれ

34. 人もなき建物脇を過ぎければ川のせせらぎかすかなる聞く

35. 屋根越しに明るき月の見えければ闇なる空に雲一つなし

36. 道沿いの家の柵にて枝垂れたる黄色き花は見るにめずらし

37. 学びやの奥より響く虫の音はしばらくするとなくなりにけり

38. 駅前の明るき店を過ぎてより虫の音するもやがてやみにき

39. 道端にさえざえと咲く花見てはゆるりと風の吹きて身を過ぎ

40. 車あるあたりに虫の声すればやや行きたるに灯りあるのみ

41. 飲み屋より頻りに歌の声すれば夜空の雲は動くことなく

42. 道端の柱の灯りに照らされて虫飛び回り風のやや吹く

43. 見渡せば闇なる空に月もなし大いなる雲いみじかるかな

44. 見渡せば長き乗り物速やかに去りてのちには闇ばかりなる

45. 道端の朽ちたる旗に風吹きて店の灯りは照り続けたり

46. かずかずに豆粒ほどの灯りあり家に向かえば虫の音のする

47. 脇見れば茂りに茂る青草に蝉の鳴き声響き合いたり

48. 旗を吹く風の涼しく過ぎながら雲間の光見れば尊し

49. どこぞより蝉の鳴き声響きつつ昼過ぎの道人あまたなる

50. 大きなる建物脇を過ぎければ蝉の鳴き声響く寂しも

51. 青々と草にて狭き道歩き暑さの中を風は吹きつつ

52. 車にて埋め尽くしたる道の脇人々どこへ行くも知られず

53. 桃色に咲き誇りたる花を見てしばらく行けばまた花に会う

54. 見上げれば空は青さを増したるに蝉は悲しく鳴き続くらし

55. 大きなる空のもとにて青き木々並べる脇を人は歩めり

56. あたりをば覆い尽くせる虫の音に耳を澄ませば風のやや吹き

57. 暗がりを見渡しながら数々の灯りは照りて人々は去る

58. 虫の音に混ざり合いたる乗り物の音響きつつ灯り悲しも

59. 暗き道人の通りはまばらなり虫の音響く脇などを見て

60. 道行けば秋の夜風は静けくて虫の音さらに続きけるかな

61. 夜空見て明るき星を見つけては三日月の夜はさらに更けぬる

62. 坂道に響き合いたる虫の音は止むことなしに空は闇なり

63. 秋の夜にあたりを照らす灯りこそ見るにつけても優しさのあれ

64. こんもりと草に占めらる道にしも秋の夜風は涼しくも過ぐ

65. 駅前の近づくにつれ明るさは道に注ぎて人も多かる

66. 駅前の車は去りて暗がりの道に一筋灯り差しては

67. 道端に桃色の花咲き乱れ風やや吹けば木々は揺れたり

68. 道の辻忙しげに去る車見て雨雲空を覆い尽くせる

69. どこぞより人の声して振り向けば道の青草雨を含めり

70. 虫の音は溢れるほどに聞こえつつ寂しき道を車過ぎけり

71. 木の端に灯りは照りて見ながらも降る雨やがて強くなりゆく

72. 雨に濡れ光を返す道歩き人々の背も寂しかりけり

73. 店の前まぶしき光浴びながら雨の小道は人も少なく